ケンチ6
どんどん暗くなって、山の上では祭りが始まったらしい。風に乗ってピーひゃらの音が聞こえる。
一歩も出ちゃいけないといわれた玄関からはだしのままつまさき立って三歩出てみた。戻ってまたしばらくして、今度は三和土においてあったおじいちゃんのだったらしい古い下駄をつっかけて十歩出てみた。りゅうすけの家のあたりをみてみたが、やけにシーンとしずまりかえっていて、おまつりに行けないさみしさなのか、この近所に人の気配がしないさみしさなのか、母さんがいなくなったさみしさなのか、けんたは胸のあたりがくーっとなって、目のまわりが少し熱くなった。


