越智敦子 絵本と童話集 おはなし100こ

ケンチ5

ボーン、ボーン。けんたの家の仏壇の上にかかっている古時計が六つ鳴った。
ケンチ 

けんたは待っていた。
東京では家に帰ってから遊ぶ友達はいなかった。母さんが頑張って働いていたから、学童で過ごしたり、熱を出したときも一人家で寝ていたりした。
それが引っ越しから二日目にしてもう友達ができて、しかも夜の道をいっしょに出かけるのだ。
考えるとうきうきしてきたが、その分、時間は律義に一分一分たっていった。 
荷物の中のTシャツを出して、二回たたみなおした。母さんが買ってくれたセーターを三回ひろげた。

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