ケンチ3
亡くなった母さんが、よくここの祭りの話をしてくれたっけ。中でも、子供たちが一番楽しみにしているのが寺の門から賽銭箱までのかけっこで、その景品がはんぱないって。
その祭りに出かけるのは、なんだか母さんに会いにいくような心待ちがして、けんたは少しうれしかった。
東京では、よく母さんと近所の祭りに行って、お面を買う買わないでけんかして、それでもひとつの綿菓子をふたりでつまみながら帰ったっけ。ぼくは金魚すくいが得意で、だけどうちにはもって帰れないよって、全部ざっぶーんと戻して帰ったよな。・・・去年もそうだった。

