アノコロ8
お母さんはリッコラの体を抱き上げしばらく泣いていました。
「ああ、リッコラ、お母さんがまちがっていたわね。一番大事なものは、『あのころ』でなくて、『いま』だったのだわ。けっしてとりもどせない『あのころ』にばかりとらわれて、今のこのしあわせさえなくすところだった。ごめんなさいね」
お母さんの胸はあたたかくってやわらかくって、リッコラは本当にしあわせでした。
「アノコロはいらないの?」
「そうよ。いらないの」
お母さんはいっそう力をこめてリッコラを抱きしめるのでした。

