越智敦子 絵本と童話集 おはなし100こ

みよ子の赤いチューリップ7

みよ子は一人たたずんでいます。一本のチューリップはそれでもまだ美しい赤い花を地面に横たえて、みよ子の歌を待っているようです。
みよ子はひざまづいて大事に拾い上げ、大急ぎで花壇に挿そうとしますが、チューリップはみよ子が手を離したとたんにすとんと倒れてしまいます。何回かがんばってみましたが、やっぱりだめ。それでももう一回! またコトンと倒れたとき、坂の下でお母さんの自転車が止まる音がしました。みよ子はとっさにチューリップをそのまま寝かせて、間借りしている離れに走って入ってしまいました。後ろ手に引き戸をしめて息をひそめていると、「きゃー!」というお母さんの声。その声で大家のヨシミさんも出てきて、二人でチューリップを見ているようでした。

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