越智敦子 絵本と童話集 おはなし100こ

みよ子の赤いチューリップ11

ヨシミさんの家に続く坂道の入り口はすぐにみつかりました。ただ、こんなに小さな坂道だったとは驚きでした。ちいさなみよ子には果てしない坂道だったのですから。
ヨシミさんの庭はあまり手入れがされていませんでしたので、もう誰も住んでいないのかしらと思いましたが、チャイムを押すとヨシミさんの声です。
「新しいヘルパーさんでしょ。早かったわね。上がってきてくださいな」
みよ子を間違えているようです。上がってみるとヨシミさんは車いすにすわっていました。三十年ぶりのヨシミさんでした。

 

「あら、チューリップ?」
みよ子が今日こそは本当のことを話そうと持ってきた一本のチューリップに気づいたヨシミさんの表情は、いっきに笑顔になりました。

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