じぞうさまのなみだ2
見ればまだ十(とお)にもならないくらいの女の子でした。おさげの髪をゆらして、少し息をきらしながらゆっくりゆっくりおじぞうさまに近づいてきます。
「はて、こんな暗い道をひとりで何のおまいりじゃろう」
「はては、飼い猫の姿がみえんとか」
「はては、おともだちのかみかざりがほしいとか」
「かわいいぞうりかもしれんぞ」
「いやいや、おべんきょうができますようにとか」
「そうじゃ おべんきょうがよくできて おこづかいをもらえますように…とか」
「そうそう こどものねがいはたいていそんなもの。大のおとなのねがいったって、そうかわりはないものですがね」
六地蔵さまはみないずまいをただして、なんでも聞き届けてやりたいと、足元にひざまづいた女の子を見下ろしました。
願いを「聞いて」あげて、できれば「かなえて」あげる。それがわたしたち地蔵の本分でございます。代々受け継がれているまほうの粉ならまだたくさんありますから、ねがいごとにふりかけてはみますが、きくときもあれば、ざんねんしごく、まったくもってきかないときもある。

