さいしょでさいごの8
ぼくは、熱くなってきた目にグッと力を入れて、そのひとつひとつを心の中にやきつけた。
「食べて、食べて」
お母さんはせかすけど、ほんとにのみこめるか自信がなかった。だって胸がいっぱいになっていたから。
ぼくの肩においた手のように、卵焼きもたこウインナもからあげもふわふわで、やわらかな雲のようだ。これが夢に見た、いや夢に見たことものなかったお母さんとのピクニックなんだ。
はじめで、 そしてさいごの。
きのう、かすみちゃんのお母さんが話してくれた。
お母さんはもう結婚していて、こどもが4人もいるらしい。
今はそんなに遠くないところに住んでいるようだけど、ぼくが遠くに行っちゃうから、きっともう会えないだろう。
父さんの葬儀のときに、やすけおじさんがでっかい声でぼくにいったんだ。
「しゃーんとしとけよ、そうた。おまえがしゃーんとしとらんと、お父さん安心して天国に行けんぞよ」
って。

