越智敦子 絵本と童話集 おはなし100こ

さいしょでさいごの11

ぼくのお母さんの胸もひざも知っている男の子たち
卵焼き、たこウインナ、からあげだけでなく、カレーもやきそばも知ってるんだろうな。
こら!のげんこつも
やめなさい!の大声も
なんでも知ってる男の子たち
ぼくはちょっとだけあとずさりした。
「そうちゃん、ジュース買っておいでよ」
と、お母さんはぼくに百円玉をもたせた。
ぼくはポケットのこづかいと合わせて、メロンソーダを2つ買って、お母さんの前に一つおいた。
お母さんがうれしそうにぼくを見上げた。
そのときすかさず2番目の子がわってはいってきた。
「母ちゃんはね、それ飲まないの! 甘いんだって。母ちゃんはコーラだよ」
一番上の子が、「何よけいなこといってるんだよ」といわんばかりに2番目をこづいているし、お母さんも下を向いた。気をつかってもらっているぼくは
「そうなんだ」
と、何でもないことのように答えた。

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