越智敦子 絵本と童話集 おはなし100こ

ありがとうがききたくて6

せめて、あの、ありがとうっていってくれたキャサリンおばあさんに会いたいとおもって、教会までやってきたジップは、おちばひろいをしている若い男の人が、通りすがりのみんなから「ありがとう」っていわれているのをぐうぜん目にしました。
これだ!
それからは、まいあさのおちばひろい、ついでにゴミ出しのおてつだい、教会の外階段のそうじ。腰をいためたおばあさんをおんぶしてその階段をあがるジップのすがたもありました。
わかりきったことですが、それはもう「ありがとう」のあらしです。だけどジップは、ありがとうをきいても、もうそんなにくすぐったい感じはしなくなってきていました。
もっともっとほんとの「ありがとう」がききたい! とおもうジップでしたが、そのはんたいに、ひとびとはジップの行為をいつしかあたりまえとおもうようになっていたのです。

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