越智敦子 絵本と童話集 おはなし100こ

ありがとうがききたくて3

おじいさんは枝切ばさみをにぎりしめ、その手を頭上高くかかげながら塀をこえて追いかけてきたからたまらない!
ジップは大急ぎでにげた。にげた。前の坂道をころがりおちるように走ります。。
ちょうどそこへ、教会の集まりにもっていこうと、りんごのたくさん入った袋をかかえたキャサリンおばあさんが大切なりんごを一個でもおとすまいと慎重に、ゆっくりゆっくりと坂道を下ってきました。すごい形相でジップを追って坂道にとびだしてきたサイエフおじいさんと、りんごをかかえたキャサリンおばあさんは、おたがいに顔を見合わせ「あー!」。 なんとか衝突はさけたものの、おばあさんはかかえていたりんご袋をおとしてしまいました。
コロコロ、コロコロ。りんごはならんで坂道をころがっていきます。サイエフさんもおいかけようとはしますが、りんごのはやさになすすべなく、ただ口をあけて「あー!」とみているだけ。

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