越智敦子 絵本と童話集 おはなし100こ

あかつき大明神2

 ある日、村に一軒だけのちいさな山寺の和尚さんが、たろべえを呼んでいいました。
「おまえ、そんなことでは、あかつき大明神になってしまうぞよ」
「えー! あかつき大明神に?」
 おどろいたのはたろべえです。「あかつき」といえば、父さんが生きていたころ、夜明けの太陽を拝んで、よくたろべえに話して聞かせてくれていたからです。
「あかつきというのは、真っ暗な夜の闇をつんざいて、あらわれるその日最初の太陽の光。いちばん元気のいい太陽なのだ」
と。
 しかも、明神様でも顔もあげられないほどえらいのに、大明神だなんてきいたこともみたこともないや。
すっかりうれしくなったたろべえは、将来の夢は断然、あかつき大明神になりました。
もちろん和尚さんが話したのは、体をきれいにしたおかなければ垢だらけになるよという注意だったのですが、時すでにおそし、です。

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